副業基礎知識

副業を解禁している有名企業37選

社会人

2018年に政府が副業導入を推奨するようになって以来、多くの有名企業が次々と副業解禁しています。

企業が副業を解禁する目的は様々ですが、単なる収入アップにとどまらず、社員のキャリアアップや社外での経験を本業に活かしてほしい、などの理由が目立ちます。

これからは、一つの会社にとどまり、一定の仕事のみするというような働き方は、珍しくなって来るでしょう。

将来のキャリア選択の幅を広げておくためにも、就職・転職の際にはその企業がどの程度柔軟な働き方を容認しているか、知っておくことが大事です。

今回は、数ある人気企業の中でも、副業を解禁している有名企業37選をご紹介します。


副業を解禁している有名企業

副業を解禁している有名企業をジャンルごとにリサーチしました。

これから就活する皆さんはもちろん、転職を考えている方もぜひ参考にしてみて下さい。

IT・メディア

ソフトバンク株式会社

携帯3大キャリアのひとつ、ソフトバンク株式会社は2017年11月から副業解禁しています。

本業に影響が出ない範囲で、社員のスキルアップや成長につながるような副業であれば、申請をすればできるようになりました。「社員が多様な働き方で組織と個人の生産性を最大化すること」を目標としています。

他にもコロナ以前から時間や場所に縛られない働き方に取り組み、在宅勤務制度を拡大したり、コアタイムなしのスーパーフレックスタイム制度を導入するなど、より自由度が高い働き方ができるようになっています。

また、他社との交流会なども積極的に行い、社員が社内だけにとどまらず広い視野を持って仕事ができるように後押ししている会社です。

株式会社N T Tドコモ


株式会社NTTドコモも、携帯3大キャリア会社のうちの一つです。働き方改革のひとつとして、副業を解禁しています。

他には、テレワークやシェアオフィス、フレックスタイム制も導入済みです。

特に、テレワークの分野ではテクノロジーの開発に力を入れ、ドコモの通信技術を利用して他企業の働き方改革にも貢献しています。

公式サイトでは副業規定に関する詳しい記述は見られませんが、2020年12月の社員インタビューで、社員の高谷友貴氏が副業が認められていることを公言しています。

高谷氏は、NTTドコモでマーケティングやプロモーションの仕事をする傍ら、副業ではシステム開発の仕事を行っているそうです。他にも、社員同士でYoutube配信をするなど、副業に対して比較的オープンな環境なのがうかがえます。

ヤフー株式会社

検索エンジンの「Yahoo!JAPAN」や、他にも様々なサービスを運営しているヤフー株式会社は、副業解禁しています。

副業するには申請が必要です。社外で経験を積むことで、社員ひとりひとりのスキルアップを図ることはもちろん、優秀な人材には社内だけにとどまらず、広い視野を持って社会に貢献し充実感を感じて欲しいという思いがあります。

なので、社員の副業に対してはとても前向きです。例えば「課題解決休暇」を利用すれば、他企業のプロジェクトやボランティアに参加することができるなど、副業を可能にする地盤が出来ています。

また、最近では「ギグパートナー」と称して社外からオンラインでの業務委託人員を積極的に受け入れています。更に、以前から「どこでもオフィス」でリモートワークの推進に取り組んでいましたが、2020年10月より「無制限リモートワーク」がスタートするなど、新しい働き方に対してとても積極的な会社です。

Google(グーグル) LLC

Google(グーグル) LLCは世界最大の検索エンジン「Google」を運営する、アメリカのインターネット関連サービス会社です。Amazon、Facebook、Appleと並んで「GAFA」と呼ばれる、アメリカの4大IT企業のひとつです。

世界各地にオフィスを構えており、日本では東京六本木にオフィスがあります。

Googleでは副業は容認されています。元々、グーグルには新しいアイデアを常に生み出すために、業務時間内に何か自分のやりたいことをやる時間を設ける「20%ルール」というものがありました。

ただ、副業について公式サイトに記載はないので、規定について詳しくは分かりませんが、グーグル社員の副業に関するインタビューから、その実態について少し垣間見ることができます。

例えば、このコロナ下でグーグルの現役マーケターが地方の農業法人の営業戦略を担当したという事例があります。他にも、グーグルで営業を担当しながら、他企業で広報やPRの副業を行い、そのままそちらが本業になったという特異な例も。

実際は、競合他社で働くのは禁止などのルールは存在すると思いますが、人事に必要事項を提出すれば、副業は容認されているようです。

サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社は、グループウェア「サイボウズ Office」や業務アプリを作れるクラウド基盤「kintone(キントーン)」などで知られるシステム開発会社です。

サイボウズでは、2012年から副業を解禁しています。「社員が自分らしく働き、会社に対する満足感を持ってほしい、という理由」で解禁しました。

就業規則では、会社の資産を毀損する恐れがない副業は、基本報告なしで認められています。会社の情報を活用したり、他の事業者と雇用契約を結ぶ場合のみ、会社側の許可が必要となってきます。

普通の企業では会社の情報を社外に持ち出したり、在籍しながら他の会社と雇用契約を結ぶことは禁止されていることが多いのですが、サイボウズはかなり副業・複業の自由度が高い会社だと言えるでしょう。

また、サイボウズでは今の仕事を続けたまま、サイボウズでも働きたいという人を「複業採用」という形で採用しています。本業がありながらも、自身のキャリアアップを図りたい、サイボウズのプロジェクトに興味がある、という人におすすめです。

※本業で就業している企業が副業を許可している場合に限ります

副業制度以外にも、最長6年間の育児・介護休暇制度、在宅勤務制度、個人の生活事情に応じて自由に勤務日や勤務時間・場所を決められる「働き方宣言制度」を設置するなど、社員のワークライフバランス向上に早くから取り組んでいる会社です。

エンジニア職だけでなく、営業、マーケティング、カスタマーサービス、法務、ライターなど幅広い分野においてチャンスがあります。

日本オラクル株式会社

日本オラクル株式会社は、日本国内を拠点としてクラウドサービス、ソフトウェア製品・ハードウェア製品、サポートサービスなどの事業を行っています。

日本オラクルは、元々米国のオラクル・コーポレーションが1985年に日本で設立した会社で、BtoBの事業がメインです。

日本オラクルでは、2008年というかなり早い段階から兼業・副業を認めており、2017年までで累計126件の副業が申請・許可されていました。現在ではもっと多くの社員が副業をしていると思われます。

これまでに認可された副業は、小型デバイスやアプリの開発を手がける会社の起業、大学の非常勤講師、スキーやダンススクールのインストラクターなど多岐にわたります。

他にも副業・兼業だけでなく「裁量労働制」「在宅勤務制」を早い段階から導入するなど、働き方の多様性を大切にする社風があります。

一方で、副業・兼業をするには本業に支障が出ないかどうか、本業に損益をもたらさないかどうかなど、厳しい判断基準もあるそうです。休日まで仕事をすることで心身に影響がないようにという配慮から、そこまで積極的に副業・兼業の推奨はしていないようです。

株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)

「モバゲー」などのスマホ向けゲームサービスで有名な株式会社ディー・エヌ・エー(以下DeNA)は、様々なインターネット・AI事業に取り組んでいる会社です。

DeNAも副業解禁していますが、「本業に支障を出さない」、「会社に迷惑をかけない」、「健康管理時間を遵守する」の3原則を守ることが大前提です。

上長および副業運営事務局の承認が必要となります。※競合禁止など承認基準あり

社内ではできない仕事にチャレンジしたり、様々な経験を積むことで自己を成長させてほしいという狙いです。

他にも、本人と異動先の事業部長が合意すれば、人事の介入無しで部署異動ができる「シェイクハンズ制度」(※入社1年以上の全正社員が対象)や、他部署の仕事を兼務できる「クロスジョブ制度」など、独自の制度があります。

また、育児・介護など個人の事情により、フルタイムで働くのは難しいという人も、「キャリア選択制度」を利用すれば時間を短縮して勤務するなど選べます。※勤続年数等に条件あり

株式会社メルカリ

フリマアプリ最大手の株式会社メルカリも、創業当初から副業を推奨しています。

上長の承認なども不要です。副業をすることで社員本人のスキルアップのみならず、社外で培った知識・経験を社内に持ち帰って活かしてくれることを期待しています。

想定される副業は、書籍の執筆や、イベント講師、社外役員やコンサルティングなどだそうです。

リモートワーク可能で、フレックスタイム制を導入しており、以前は12時から16時をコアタイムとしていましたが、現在はコロナの影響もあり、より柔軟な働き方ができるようにコアタイムを廃止しています。

株式会社サイバーエージェント

人気の無料ブログサービス「Amebaブログ」やネットTV「AbemaTV」を運営している株式会社サイバーエージェントも、2015年より承認制で副業を解禁しています。ただし、あくまで「本業に支障が出ない範囲で」「スキルアップ目的として」副業をする場合に限ります。

エンジニア・クリエイターの在籍率が高いサイバーエージェントですが、副業をしたい場合は本業と関連のある仕事をするのが良さそうです。

サイバーエージェントにはたくさんの子会社があり、同じサイバーエージェントグループ内で会社間をまたいだ副業ができる制度「Cycle(さいくる)」があります。これまで社外に発注していた業務をグループ内で循環させることで、個人のスキルアップと組織としての成長を図る目的です。

例えば、ゲーム子会社のイラストレーターが他子会社のイラストを描いたり、広告クリエイターが別子会社のゲームのCGを製作するなど考えられます。

他社で副業するのはハードルが高い、という人も同じグループ内ならもっと気軽に副業ができ、また本業に支障が出ないよう配慮してもらえるというメリットがあります。

LINE株式会社

LINE株式会社は、多くの人が利用しているコミュニケーションアプリ「LINE」を提供している会社です。

副業に関しては、上長や関連部門の事前承認があればOKとなっています。

ただし、「業務に支障をきたさないこと」、「会社の名前や財産などを使用しないこと」、「会社固有の技術やノウハウの漏洩をしないこと」などの承認基準があります。

また、LINEは「裁量労働制」です。始業・終業時刻は個人に委ねられており、実際の就業時間に関わらず、あらかじめ決めておいた時間を労働したとみなすようになっています。なので、自己管理次第では副業のしやすい環境になってくると思います。

大日本印刷株式会社(DNP)

大日本印刷株式会社は、情報・印刷事業などの他、食品や生活用品の包装材、電子デバイス製品の事業も手がける超大手印刷会社です。

大日本印刷(以下DNP)では、2019年よりテレワーク導入と同時に、副業・兼業の一部を容認しています。

ただし、本業に支障が出ない範囲で、DNPでの新しい価値の創出につながるような内容であることが条件だそうです。

DNPでは転職サイトのビズリーチを利用して社外のプロフェッショナル人材を副業・兼業採用するなど、新しい雇用形態に対しても積極的です。

現在もテレワークの拡大、主業務とは別に社内の他の業務に週の就業時間の20%を割くことができる「社内複業制度」を導入するなど、更なる働き方改革を行っています。

金融

みずほフィナンシャルグループ

大手メガバンクのみずほ銀行を抱えるみずほフィナンシャルグループは、従来の終身雇用制から個人の専門性を重視した新しい働き方への移行を推進しています。

その一環として、メガバンク系では初めて、副業を解禁しました。

ただし、他社と雇用契約を結ぶ仕事は禁止されています。

ですが副業厳禁のイメージが強かった大手銀行としては、かなり思い切った働き方改革をしたと言えるでしょう。

副業を通して経験を積んでもらい、社内外で通用する専門性の高い人材になってほしい、というのが狙いです。

また、みずほフィナンシャルグループでは、現在の業務を続けたまま社内外で更にキャリアアップできる「ジョブ公募」と呼ばれる制度も設置しています。グループ内でのプロジェクトの他に、いわゆる外部への出向もあり、応募者数は年々増えています。

出向先はみずほグループ外のスタートアップ企業、コンサルティングファーム、大手メーカーなど様々です。

また、ジョブ公募とはまた別に「社内兼業」「社外兼業」制度も開始し、こちらも年々応募・承認が増え社員の副業・兼業に対する関心が高いことが分かります。

三井住友フィナンシャル・グループ(SMFG)

三井住友フィナンシャル・グループ(以下SMFG)も、3大メガバンクのひとつ三井住友銀行を抱える大規模金融グループです。

SMFGでは副業を全面的に解禁しているわけではないようですが、60歳以上のシニア世代がセカンドキャリアをしっかり築けるような体制づくりに取り組んでいます。

例えば副業に充てる時間を作れるよう、「デュアルキャリア支援制度」と呼ばれる週3日勤務の柔軟な雇用形態を採用するなど、段階的に働き方改革を進めています。

他にはフレックス制や在宅勤務制を導入しています。

三井住友カード株式会社

SMFG傘下の三井住友カード株式会社は、2019年11月より、副業を解禁しています。

本業に支障が出ない範囲で、三井住友カードの勤務時間外で行うことが条件です。

従業員のスキル獲得と自己成長の支援が目的です。

SMBC日興証券株式会社

SMFG傘下のSMBC日興証券株式会社は、2009年に設立された証券会社で、投資信託やオンライントレードなど、資産運用に関する事業を行っています。

SMBC日興証券では、働き方改革の一環として、2020年春より副業を解禁しています。

現時点では、副業として認められるのは個人事業主やフリーランスとのことだったので、他企業と雇用契約を結ぶことは禁止されていると思われます。

また、それと同時に週休4日制・3日制も導入しています。(※年齢制限あり、目的は介護や子育てなどに限る)

このように、SMBC日興証券では、仕事と家庭の両立ができるような環境づくりに取り組んでいます。

他にも、時代に合わせてテレワークやタブレット端末の導入にも力を入れており、今後の更なる働き方改革に期待ができます。

株式会社新生銀行

株式会社新生銀行は、早期のインターネットバンキング参入、ATM手数料無料(口座開設月から3か月目まで)、他行宛振込手数料無料(回数制限あり)など、他銀行にないサービスに早くから取り組んできた銀行です。

そのためか働き方改革にも早くから前向きに取り組んでいました。

新生銀行は2018年から副業・兼業の解禁をしています。対象者は全従業員です。

一定の範囲内での個人事業主型兼業(業務委託、起業、会社役員など)、または他社に雇用される形での兼業も認められています。

ただし、同業他社での兼業、会社の利益に相反するような内容等の副業は認められていません。上記条件に該当しなければ、多くの場合承認されています。

2019年までで約70名が副業を行っていました。他にも、従業員向けに他社が提供する副業マッチングサービスを紹介する取り組みも始めるなど、かなり副業に対して推奨的な会社です。

他にも、一日のうちでもオフィス勤務と在宅勤務を組み合わせて働くことができるなど、柔軟な働き方体制が見られます。

三菱UFJ銀行

みずほ、三井住友と並ぶ大手メガバンクの三菱UFJ銀行では、2019年に「助業」と呼ばれる形で副業が解禁されています。

内容は、週に1~2日程度、外部の企業へ出向して働く制度です。出向先は主にスタートアップ企業で、財務や会社制度なの面で銀行業務での経験を生かしアドバイスを行うことが想定されています。銀行側のメリットとしては、行員が外部企業で働くことで、銀行内では得られない経験をさせる狙いがあります。

まだ、個人が自由に副業するための制度とは言えなさそうですが、少しずつ副業・兼業制度を導入している段階だと言えるでしょう。

株式会社あおぞら銀行

株式会社あおぞら銀行は、東京都千代田区に本拠地を置く普通銀行です。

あおぞら銀行では、2020年に副業を解禁しました。

対象は全行員約2000名で、認められるのは個人事業主の形での副業となります。

競合事業での勤務を防ぐため、他社との雇用契約は認められていません。

これまでの総合職、一般職といった概念を廃止し、キャリアコースに関係なく社員が成長できるよう計らったり、起業経験のある学生を新卒採用し、採用後も事業の継続を認めるなど、大幅な人事制度改革を行っています。

東京海上日動火災保険株式会社

東京海上火災保険株式会社(以下東京海上)は、日本の大手損害保険会社です。

東京海上では以前から副業は容認されていましたが、副業承認の基準が厳しく、実際には中々制度を利用している人はいなかったそうです。

2021年1月、大幅に副業制度を見直し、対象社員が全社員の約1万7000人となりました。

以前は本社の人事部門の承認が必要で、気軽に副業はできない雰囲気でしたが、今後は他社での勤務時間が一定時間以下であれば、各支店や部署の裁量に任されるようです。

他の多くの副業解禁企業と同じように、社外で副業をすることで社員の経験値アップ、人脈の拡大などが狙いです。

損害保険ジャパン株式会社(損保ジャパン)

損害保険ジャパン株式会社(以下損保ジャパン)は、SOMPOホールディングスが親会社の大手保険会社です。

副業・兼業は人事部に申請し承認を得られれば可能となっています。

他にもフレックスタイム制、短時間勤務制、在宅勤務制、半日単位での有給取得制度など、より柔軟な働き方が可能となっており、制度の使い方次第で副業もしやすくなってくると思います。

副業導入を検討している中小企業向けに「副業パッケージプラン」と呼ばれる保険商品を販売したり、フリーランス協会と連携して地域企業の活性化に取り組むなど、会社全体としても社会の副業推進に前向きです。

ライフネット生命保険株式会社

ライフネット生命保険株式会社は、インターネット保険の先駆けの会社です。

ライフネット生命では、以前から副業・複業の推進に積極的に取り組んできました。

2010年から社員の副業・複業を認め、2018年には「パラレルイノベータ採用」と呼ばれる新しい人事制度も設置しました。

これは、自身で既にやりたい事業がある人を、ライフネット生命外で副業・複業をやる前提で採用する制度です。

その他にも他からの複業人材を積極的に登用しています。

また2020年12月の時点で社員160人のうち、約1割が複業申請をしています。

ライフネット生命で働きながら、社団法人で運営サポートを行ったり、大学講師をしたりなど様々な事例があります。

第一生命ホールディングス(HD)株式会社

第一生命ホールディングス(HD)株式会社は、大手の生命保険会社です。

大手生保としては初めて、2021年4月に副業を解禁しました。

対象は営業職を除く、社員約1万5000人です。社外で様々な経験を積んでもらい、社員一人一人の成長を図る目的です。副業するには申請が必要で、他企業と雇用契約を結ぶことは禁止されていますが、勤務時間外にフリーランスや起業などの形態で働くことは認められています。

以前は副業に厳しい姿勢をみせていた金融業界でも、解禁する企業が増えてきたことから、社員のモチベーションを上げるために、第一生命HDも踏み切ったのだと思われます。

まだ解禁されたばかりなので、細かい制度は整えている最中でしょう。

小売・卸系

双日株式会社

双日株式会社は、自動車やプラント、エネルギーや金属資源、化学品、食料資源など、全世界で幅広くビジネスを展開している大手総合商社です。それぞれ長い歴史を持つニチメン株式会社、日商岩井株式会社をルーツに持ち、世界の様々な国と地域に事業を展開しています。

双日のコンプライアンスには、副業は会社の利益と相反する場合が多いため、事前許可がないと認められない、とあります。会社の取引先や競合先と関連するような業務、本業の勤務時間を利用した業務、また会社の資産・情報・備品などの使用についても就業規則で厳しく禁じられています。

ですが、2021年3月にはかなり新しいチャレンジを行っています。

副業をしたい、介護や育児などのため短時間勤務をしたい、という社員のために、新しい子会社「双日プロフェッショナルシェア」を作りました。

そこに転籍した社員に双日側から職務(ジョブ)を依頼するという仕組みです。

転籍した社員は、週に3日双日から依頼された職務をこなせば、残り2日は自由に副業や起業にあてられます。

2021年7月以降、実際に導入される予定で、初年度は20人程度を受け入れる方針です。※新会社へ転籍希望を出せるのは35歳以上の社員のみ

他にも、社員のキャリア形成を目的に「ジョブ型雇用」を取り入れるなど、積極的に働き方改革に取り組んでいます。

丸紅株式会社

丸紅株式会社は、国内外で様々なビジネスを展開する大手総合商社です。就職ランキングでも常に上位にランクインしています。

丸紅では、兼業・副業を一部解禁しています。

また、上記とは別に「15%ルール」と呼ばれる勤務時間の15%を新規事業創出のための時間に充てることを可能にした制度を設けています。

イノベーション促進のため、業務時間内に新規事業のための自由な活動をしてもよい、という制度で、申請や上長の承認などは特に必要ないそうです。

社員の自律的なキャリア形成のために、フレックス制、リモートワーク、ジョブ型採用など、新しい働き方制度を積極的に導入しています。

サービス

株式会社リクルート

株式会社リクルートは求人募集サイトのリクナビ・フロムエーナビだけでなく、旅行サイトのじゃらんやSUUMO、AirPAYなど、様々なメディアソリューションサービスを運営している会社です。

自由な社風が特徴のリクルートでは、副業は容認されています。

詳しい副業規定は確認できませんが、多くのリクルート社員・元リクルート社員のインタビューから、その実態を伺うことができます。

独立志向の社員が多いため、互いに気軽に本業以外の情報交換をしているようです。

社員の経験値が上がるのであれば、副業はしても構わないという考え方が根底にあります。

企業の副業・兼業に関する意識調査を行ったり、スタートアップ企業や地方企業のプロジェクトに参加できる副業マッチングサービス「サンカク」を運営するなど、これからの時代の新しい働き方を牽引している会社です。

株式会社リクルートホールディングス

リクルートの親会社である株式会社リクルートホールディングスは多くの子会社を抱えていますが、グループ全体として副業・兼業が認められています。むしろ、推奨されている節もあるようです。※子会社によって規定の違いあり

在籍しながら起業したり、その後独立している人も多くいます。

リモートワーク、フレックス制など新しい制度を積極的に導入し、社員の副業に対してとても前向きな会社です。

ランサーズ株式会社

クラウドソーシングサービス「ランサーズ」を運営するランサーズ株式会社は、フリーランサーや副業をしている人たち向けのサービスを様々展開しています。

会社自体が副業を始めとした新しい働き方推進に取り組んでいるため、特に副業の申請をする必要はないそうです。

むしろ副業を通して「自分のスキルを磨き外部の知見を積極的に生かすこと」を推奨しています。

他にもリモートOKはもちろんのこと、フレックスタイム制の導入(※コアタイムは10~14時)など、社員の人が働きやすい環境づくりに取り組んでいます。

娯楽・レジャー

株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)

株式会社エイチ・アイ・エス(以下HIS)は、旅行事業だけでなく、ホテル・テーマパークなども手がける旅行会社です。

2018年、「楽しい職場づくり」の4つの施策の中の一環として、旅行会社としては初めて副業を解禁しました。ライフスタイルの様々な多様性に対応した職場にすることを目的としています。

ただし、副業として認められるものは個人としての仕事のみであり、他企業に雇用されることは長時間労働などの危惧から禁止されています。ですが、社外で経験を積んだ社員が社内にイノベーションを創出してくれることが期待されています。

また、以前より導入されていたフレックスタイム制度において、時短社員でも制度を利用できるようにしたり、在宅勤務トライアルに取り組むなど、旅行会社の中でも新しい働き方の先を行っています。

全日本空輸株式会社(ANA)

全日本空輸株式会社(以下ANA)は、勤務時間外に家庭教師をするなど、個人事業主としての副業はOKされていましたが、あまり浸透していませんでした。

しかし、コロナによる業績悪化を受けて、2020年には、副業範囲を更に拡大しました。

それまでは禁止されていた他社との雇用契約もOKになり、ANAで働きながら、勤務時間外に他企業でパートやアルバイトとして雇用契約を結ぶことが想定されています。対象はANAのパイロットや客室乗務員を含む全従業員約1万5000名だそうです。

業績悪化で給与をカットせざるを得ない分、本業とは別の道でも収入を確保してもらいたいという狙いのようです。

ただし、CA・パイロットなどはフルタイムで働くことが多く、またスケジュールが直近にならないと分からないこと、突然の呼び出しがあることなどから、副業にかける時間を確保できず、現実的には難しいという声もあります。

副業時間にも上限があり、実際は他社と契約を結ぶ形式での副業などは難しそうです。

電機・精密

コニカミノルタ株式会社

コニカミノルタ株式会社は、オフィスツールなどのITサービス、プリント・グラフィック、ヘルスケア、光学技術(センシング)、画像loT・AI技術、プラネタリウムなど幅広い科学技術を持っている会社です。

2017年12月より兼業・副業の解禁を行っています。コニカミノルタは、常に新しい技術を生み出すために「個の多様性」を活かし、独自の人材を育成してイノベーションを創出したいと考えています。そのため、社員の兼業・副業にも前向きです。

社外で培った知見や技術を、コニカミノルタに持ち帰り新しい技術に活かしてくれることを期待しています。

兼業・副業するには申請が必要で、やりたい仕事の内容(会社名、勤務日数/時間、業務詳細、雇用形態等)、やりたいと思った動機、またその仕事を通してコニカミノルタにどのような貢献ができるか、などを提出し上長に確認してもらいます。その後、申請書・誓約書を人事部長に提出し、承認されれば副業ができます。

コニカミノルタに在籍しながら自分で起業したい、社外で副業をすることでIT・プログラミングなどの技術を高めたい、などのケースが想定されています。

他にも、育児や介護、留学・転職などの理由によって退職してしまった優秀な人材が戻って来やすい「ジョブ・リターン制度」や、グローバル採用、リモートワークなど、新しい働き方制度を導入しています。

食品

アサヒビール株式会社

アサヒビール株式会社は、ビールなどの酒類を中心に販売している会社です。

ビールメーカー大手のアサヒビールでは、2020年1月から副業解禁されています。

勤務年数5年以上の社員が対象で、申請が必要です。企業と業務委託契約を結んだり、スポーツインストラクターなど個人事業主として副業をするのはOKですが、別の会社に社員として雇用されることは許されていません。

また、健康管理などの観点から、原則として副業を終えてから本業を始めるまでに10時間は空けることとなっています。

 月に2日まで、無給ですが1日単位で副業休暇を取ることができます。

公式サイトには副業に関する詳しい記載がなく、実態が分かりませんが、今後若い人を中心に制度を利用する人が増えてくるだろうと思われます。

親会社のアサヒグループホールディングスは、副業解禁を検討中だそうです。

カゴメ株式会社

カゴメ株式会社は、野菜ジュースなどの飲料、ケチャップなどの調味料、食品の製造で有名な大手食品メーカーです。

カゴメでは、個人が高い専門性を獲得して、社内外で活躍できるような「強い個人」になってほしいと願っています。そのための手段として、2019年に副業を解禁しています。

一社に限定せず複数の仕事をすることで、視野を広げ自らのキャリアを更に磨いてほしいという狙いです。「副業=複業」と考えており、大手企業としては珍しく他社と雇用契約を結んでも良いそうです。

ただし、健康管理の観点から、副業制度を利用していいのは「年間労働時間が1900時間未満の人」に限定され、副業時間は本業での時間外労働と合計して「月45時間以内」と定められています。

健康管理について多少チェックがありますが、フレックス制、テレワークなど積極的に取り入れ、社員の「自律的なキャリア」を第一に考えた、副業がしやすい会社だと言えます。

建設・不動産

株式会社LIXIL

株式会社LIXILは、住まいと暮らしに関する様々なサービスを提供している会社です。キッチン・浴室・トイレなどの水回り設備や建築資材など、住宅に関する商品を幅広く開発・販売しています。

LIXILでは、2019年よりテレワークなど働き方改革を実施しており、2020年にはコアタイムを廃止した「スーパーフレックス制」と、副業の試験導入を行っています。スーパーフレックス制のおかげで、副業のしやすい環境になっていると思われます。

副業は、2021年3月までが試験導入期間となっていますが、その結果をふまえ業務や従業員の健康等に支障がなければ、正式導入されている予定です。

副業導入の理由は、従業員のキャリアの選択肢を増やしてほしいという想いからです。多くの企業が、従業員の気持ちが会社から離れないよう、より自由度の高い働き方を推進していることもあり、LIXILもそれに続いていくと思われます。

三菱地所株式会社

三菱地所株式会社は、日本の大手不動産会社です。

オフィスビル・商業施設の開発や、賃貸、管理、マンションの建設など幅広く事業を行っています。

三菱地所は2014年に新事業創造部を設置して以来、オープンイノベーションに取り組んできました。その一環として、2019年に更に優秀な人材を獲得するために、転職サイト「ビズリーチ」を利用し、副業・兼業人材を公募しています。

また、2020年1月より社員一人一人のポテンシャルを高め、本業へも還元させることを目的とし、副業を解禁しました。副業は許可制となっており、競合他社など利益相反関係にある事業での副業は禁止されています。また、ひと月当たりの副業可能な時間は50時間までと定められています。

2020年11月からはクラウド型副業制度運用サービス「フクスケβ版」が導入されるなど、副業・兼業制度は更に充実していきそうです。

生活・関連

ロート製薬株式会社

ロート製薬株式会社は、パンシロン、メンソレータムなど有名な医薬品を製造しているだけでなく、化粧品、再生医療、食事業など幅広く事業を行っている製薬会社です。

ロート製薬では、2016年2月に副業(複業)を解禁し、「社外チャレンジワーク」と「社内ダブルジョブ」という制度を設置しています。解禁から5年が経ち、制度を利用して副業・兼業をしている社員が増えました。

これまでに80名以上が社外チャレンジワークを行っており、現在も続けている人は多いです。内容も美容WEBライター、大学講師、キャリアコンサルタントなど多岐にわたります。

社外チャレンジワークは、入社3年目以上の社員が対象で、「本業に支障をきたさない」「就業時間外・休日のみ行う」が条件です。

社内ダブルジョブを行っている社員も100名近くおり、営業と広報、商品企画と人事など、全く違った分野で並行して活躍している社員もいます。

このように、ロート製薬は従業員の多様な働き方を推進してくれる環境があります。

ライオン株式会社

ライオン株式会社は、オーラル・ビューティケア商品、ファブリックケア商品、リビングケア商品など生活用品を幅広く取り扱っている会社です。

ライオンでは、「人材開発の促進」を目的とし、副業を解禁しています。

本業の残業時間+副業時間が月80時間を超えないようにする、翌日の勤務まで10時間空ける、週に1日は休日を取得する、利益相反しない、などのルールがありますが、事前に上長と副業内容について確認しあうのでこれまで申請された副業は全て承認されています。

2020年には、会社の人事部が副業を紹介してくれるという画期的な制度も始まり、人材派遣会社が紹介してくれた副業が社内サイトにて掲載されています。

外部からの副業人材も積極的に受け入れるなど、副業をかなり積極的に推奨している会社です。

自動車・機械

ダイハツ工業株式会社

ダイハツ工業株式会社は主に軽自動車・小型車を製造・販売している自動車メーカーです。

ダイハツでは、2020年より社員の副業解禁の検討を始めています。

自動車業界では、リーマンショック時に日産などが社員の所得確保のため一時副業を解禁していましたが、積極的な副業解禁はダイハツが初となります。現在は試験的に導入されており、工場勤務が難しくなった中高年従業員が農家で働くなど、新しい試みがなされています。

また、ダイハツでは求職サイト「ビズリーチ」を利用し、副業・兼業人材を外部から公募しています。

このように、固定された雇用形態ではなく、より流動的で柔軟性のある組織づくりに取り組んでいることが伺えます。

まとめ

以上、副業を解禁している有名企業37選、いかがでしたでしょうか。

これからは、一つの企業にとどまらず、キャリアアップのために転職したり、並行して複数の企業で働く「パラレルワーク」をするのが当たり前になって来ると思います。

企業を選ぶ際には、副業可能か?リモートワーク可能か?など働き方に柔軟性があるかどうかが重要な選択基準となって来ます。

これから就職・転職活動をする人はぜひこの記事を参考にしてみて下さい。