会社員の場合、税金や社会保険は会社(経理部)が計算し天引き処理を行ってくれるので、基本的には自分で手続きなど、行動することはありません。
給与明細を見ると支給欄と控除欄に大別されており、控除欄で税金と社会保険料を確認できるので、少しは気にしたこともあるかと思います。
しかし、「副業」で本業以外に収入を得た場合はどうなるのでしょうか?
副業する上で気を付けたい「税金」と「社会保険」について、正しい知識を身につけておきましょう。
年間20万円以上の所得を超えたら確定申告が必要
本業が会社員だと年末調整があるので、確定申告は不要では?と思ってしまいますが、ある条件を満たすと会社員でも確定申告をしなければなりません。
確定申告とは、1年間の所得を計算して税務署に申告し、納税することをいいます。
収入のあるところには必ず税の申告がついてまわるので、たとえ副業であってもそれは変わりません。
「20万円ルール」とは?
副業の収入と所得の合計が年間20万円以下であれば申告は不要となる、通称「20万円ルール」があり、副業をする人なら耳にすることは多いでしょう。
20万円ルールの落とし穴
このルールは、あくまでも「所得税」に限ってのことです。
市区町村に支払う住民税に関しては、20万円ルールのような特例措置はなく、住民税は別に申告しなくてはなりません。
住民税申告とは、前年の所得について申告するもので、収入の多少に関わらず申告をする必要があります。
確定申告をしなくても良い場合でも、住民税の申告は忘れないようにしましょう。
会社員が加入する社会保険
社会保険とは社会保障分野のひとつで、万が一の事故に備えるための制度です。
職業(会社員や公務員、個人事業主)によって加入する社会保険は異なり、仕組みを理解して有効活用しましょう。
会社員の場合
会社員が加入する社会保険は、以下の5つです。
- 雇用保険
主に失業した時の生活をカバーします。
育児や介護休業で働けない時の生活保障もしてくれます。
- 労働者災害補償保険
いわゆる労災保険で、勤務中や通勤途中で起こったケガや病気を保障してくれます。
- 健康保険
勤務中や通勤中以外でケガや病気をした時の、医療保障です。
- 介護保険
介護が必要となった時の保障で、40歳以上から保険料を払うようになります。
- 厚生年金保険
主に老後の生活保障として備えた保険制度です。
半分は会社が支払っている?
先ほど会社員の社会保険についてご紹介しましたが、この中の「健康保険」と「厚生年金保険」は保険料の半分を、「雇用保険」に関しては会社が保険料の約6割を支払ってくれています。
このように、後ろ盾がある会社員の社会保険はかなり充実していると言えるでしょう。
個人事業主が加入する社会保険
次に、フリーランスや自営業などの個人事業主が加入する社会保険をみていきましょう。
会社員と同じものもありますが、よく見ると少しちがうものもあるのが特徴です。
- 国民健康保険
勤務中や通勤中以外でケガや病気をした時の、医療保障です。
会社員の加入する健康保険とほぼ同じ内容ですが、一部取り扱いが異なる場合もあるので、お住まいの自治体に相談してみてください。
- 介護保険
介護が必要となった時の保障で、40歳以上から保険料を払うようになります。
- 国民年金保険
主に老後の生活保障として備えた保険制度です。
収入が安定しない時など、国民年金保険料の支払いが厳しい時は、免除申請をする方法もあるので利用してみましょう。
個人事業主は保障内容が乏しい?
個人事業主の社会保険内容だと、雇用保険や労働者災害補償保険には加入できないので、民間の保障保険などを検討することをおすすめします。
なぜなら、会社員のように保険料の折半といった後ろ盾や保障がないので、ある程度自分でカバーしていく必要があるからです。
副業で社会保険料が増えるケースは?
副業を行う場合、働き方などによって社会保険料が増える場合とそうじゃない場合があります。
社会保険料が増える働き方とは?
それは、パートやアルバイトなど会社などから「雇用されて働く場合」です。
この場合、勤務する時間数や会社の規模などによっては、社会保険の加入対象者に該当します。
社会保険の加入条件(すべてに当てはまる)
- 勤務先の従業員数が501人以上
- 週の所定労働時間が20時間以上の
- 月額賃金が8.8万円以上
- 2カ月以上の雇用を見込んでいる
- 学生ではない
2021年9月現在は上記の加入条件になっていますが、2022年10月から段階的に①の対象人数が変わり、一部のパートやアルバイトの方の社会保険の加入が義務化されます。
この変更点については、厚生労働省のホームページに掲載されているのでご確認ください。
副業先で加入する社会保険
1社でしか加入できない雇用保険を除き、他の社会保険にはすべて加入することになります。
保険料は、本業と副業の収入額を基に計算されますが、保険証が2枚以上になるわけではなく、給付金の基準も同じです。
本業が会社員の場合、より多くの保険料を支払わないためにも、加入条件を確認して副業(パートやアルバイトなど)のペースをコントロールしましょう。
社会保険に加入すると会社に副業がバレる?
本業の会社と副業の会社の2ヶ所で社会保険に加入したら、給与から天引きされる社会保険料が案分した金額とちがい、それをキッカケに副業していることがバレてしまいます。
社会保険料の金額は、本業と副業で得た収入の合計額から計算するので、一方の収入金額しか知らない本業の会社にとっては、気づきやすいキッカケです。
本業の会社に副業していることを知られたくなければ、副業のペースをコントロールする必要があります。
まとめ
副業であっても収入を得ると税金の申告と納付はついてまわるものです。
知らなかったでは済まされないので、ペナルティを受けないためにもきちんと理解し納税しましょう。
社会保険は、会社員か個人事業主かによって加入する保険は変わってきますが、どちらも生活を保障してくれる働くうえでは必要なものなので、仕組みを理解して有効活用しましょう。