働き方改革により副業ブームが起こるなか、勤務先の就業規則で副業が禁止されていたり、そもそも公務員なので法律により副業ができないなど、様々な理由で副業を始めることができない人はまだまだいます。
とはいえ、今の収入だと生活が苦しい、老後資金が心配など、今より収入を増やしたい人はどうしたら良いのでしょうか?
株式投資は副業に含まれる?副業禁止の会社でも始められる?
就業規則や法律により、副業を禁止されている人もできる「株式投資」をご存じでしょうか。
株式投資って何?それって副業にならないの?など、疑問を解消するために、まずは株式投資の基本情報からみていきましょう。
株式投資とは?
これは資産運用のひとつで簡単に説明すると、株式会社の発行する「株式」を売買して、配当金などの利益を狙うものです。
株式
会社の所有権の一部で、株式会社へ資金を提供した株式購入者(投資家)に対して発行されます。
つまり、株式購入者は資金を提供することで「企業のオーナーの1人」になれるのです。
ほんの一部であっても所有権を持つことで、様々な恩恵を受けることができます。
配当金
企業が儲かった利益の内の数パーセントを株式購入者に、分配することです。
投資信託とのちがい
株式投資と並ぶほど人気のある投資信託ですが、主なちがいは以下の通りです。
投資対象
株式投資は1つなのに対し、投資信託は複数あります。
銘柄選び
株式投資は自分で好きに選択できますが、投資信託は投資のプロに選択してもらうので自分で決めることはできません。
副業に該当しない理由とは?
株式投資について理解したところで、いよいよ株式投資が副業にならない理由についてみていきましょう。
そもそも副業とは?
まずは、法律の面から副業について考えてみましょう。
税法上の定義では、「本業」「副業」などという概念はなく、税法で定義されている所得税(儲けにかかる税)は、その発生形態などに応じて、所得税法に基づいて「給与所得」や「事業所得」などの10種類に分類されます。
つまり、本業か副業かにかかわらず、該当する発生形態などにより所得税区分が決まるので、税法においては「副業」という概念は存在しません。
公務員の場合
法律(税法)においては副業という概念はありませんが、公務員は国家公務員法および地方公務員法により明確にされています。
それは「営利企業の役員や社員」「自営業」「報酬を得る事業や業務」といった内容で、いわゆる副業を禁止されていることがわかります。
しかし、資産運用の株式投資なら、営利団体の役員や社員としての業務や自営業を営んでいることには該当せず、また報酬を得る事業や業務にも該当しません。
そのため、株式投資なら公務員でも可能なやり方といえます。
就業規則により禁止されている場合
株式投資かどうかにあってもかかわらず、会社員の場合、原則副業は可能です。
勤務先の就業規則において副業が禁止されているといった所も存在しますが、就業規則には法的拘束力はないので、そのような場合でも法律上、副業は可能なのです。
しかし、就業規則違反を理由として懲戒処分などのペナルティを科されたり、訴えられたりする場合などがあるので迂闊に副業はできません。
厚生労働省のガイドラインによると、会社が副業について懸念していることは「自社での業務がおろそかになる」「情報漏洩のリスクがある」「競業・利益相反になる」などがあげられています。
そのため、株式投資はルール(インサイダー取引をしない・就業時間中に取り引きをしないなど)を守って行えば上記のような懸念点は攻略できるので、就業規則違反に問われる可能性は低いでしょう。
ただし、金融機関では株取引そのものが禁止されている場合もあるので、事前に就業規則をしっかりと確認することをおすすめします。
株式投資をやっていることは会社にバレる?
資産運用という観点から副業に当たらないとはいえ、できるだけ勤務先には株式投資をしていることを、知られたくない人もいるでしょう。
ここからは、勤務先に知られないための対策についてご紹介します。
会社にバレる要因は住民税?
勤務先で株式投資をしていることを話さなくても、知られてしまう要因は住民税です。
会社員の場合、毎月のお給料から住民税を差し引いて納める「特別徴収」という方法がとられており、株式投資の利益にかかる税金が多いと、経理担当の人に「特別徴収が給与所得での納付額より多いなぁ」と気づかれる可能性があるからです。
会社にバレないための対策とは?
税金を納めても、株式投資をしていることが勤務先に知られないようにするためには以下の方法があります。
- 源泉徴収ありの特定口座を選択
株式投資をするために最初にすることは、証券会社で取引口座を開設することです。
この時に、「源泉徴収ありの特定口座」を選択すると、証券会社が源泉所得税の納税を代行してくれるので、勤務先に知られることはありません。
また、自分で確定申告をする必要もないので便利です。
もう一方の一般口座だと、すべての取り引きを把握し自分で損益計算をする必要があるので、特定口座よりも手間がかかります。
- NISA口座で株式を運用
NISAは2014年に開始した、個人投資家のための税制優遇制度で、NISA口座内で毎年一定金額の範囲内で購入した株式から得られる利益が非課税になるので、これも勤務先に知られることはありません。
- 確定申告時(または住民税申告時)に「自分で納付(普通徴収)」を選択
自分で納付できるように選択することによって、給与所得にかかる税金と分けておくことができるので、勤務先の経理担当におかしいと判断される可能性は低くなります。
まとめ
「副業を禁止されている、どうしよう」となっても、株式投資なら資産運用と判断されるので問題なくできます。
しかし、投資に没頭して本業に支障が出たり、税金を納め忘れたりするとペナルティを受け、反対に損をしてしまうこともあります。
また、投資は必ずお金が増えるものではないので、しっかりと投資の知識を身につけることも大切です。