会社勤務だと年末調整で税金の処理をするので意識する人は少ないでしょうが、副業や在宅ワークをしている人は「確定申告」を意識することが多いでしょう。
いくら稼いだら必要なのか、かけもちしていたらどうなるのか、そもそも確定申告とは?といった疑問を一緒に解決していきましょう!
内職や在宅ワークで得た収入も確定申告は必要
内職や在宅ワークなどで一定以上の収入を得ている場合は、確定申告が必要となります。
確定申告とは?
簡単に説明すると「所得に対してかかる税金(所得税)を自分で計算して、納めた税金の過不足を精算する手続き」のことです。
内職や在宅ワークの収入は、「事業所得」または「雑所得」に分類されます。
基本的に所得があれば納税の義務がありますが、金額などの条件によって納税の有無がちがってきます。
いくら稼いだら必要なのか?
働き方によって内容が異なるので、それぞれのケースをみていきましょう。
内職や在宅ワークを専業としている人
例えば、専業主婦(主夫)がこのケースにあてはまります。
内職や在宅ワークを専業としている人が、確定申告をしなければならない金額は「年間48万円以上」です。
この金額は、「基礎控除」という所得控除の一種によるもので、2020年から施行された税制改正によって、それまでの38万円から最大48万円に引き上げられました。
基礎控除は、納税者個人の事情を加味して、無理なく納税できるようにする趣旨で設けられたものです。
ただし、納税者本人の年間所得金額によって基礎控除の額は変わってくるので注意しましょう。
副業として内職や在宅ワークをしている人
会社員やパート・アルバイトといった本業があり、副業として内職や在宅ワークをしている人が確定申告をしなければならない金額は「年間20万円以上」です。
この20万円は、2つのパターンがあります。
- 給与を1ヶ所から受けている場合は、副業の所得を対象とする
- 給与を2ヶ所以上から受けている場合は、副業の所得と年末調整をされなかった給与を対象とする
思わぬ落とし穴とは?
先ほど解説した金額は、あくまで確定申告(所得税)に限ってのことです。
住民税に関してはこのような特例措置はなく、住民税は別に申告しなくてはなりません。
住民税申告とは、前年の所得について申告するもので、収入の多少に関わらず申告をする必要があります。
確定申告をしなくても良い場合でも、住民税の申告は忘れないようにしましょう。
経費になるもの
内職や在宅ワークの収入は、「事業所得」または「雑所得」に分類されます。
この事業所得と雑所得の金額は、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算することになっています。
「収入」と「所得」のちがいとは?
一見同じものかと思いきや、厳密にはちがう「収入」と「所得」。
収入
事業(農業や自営業など)の場合、いわゆる売り上げが収入となります。
給与を受け取っている会社員の場合は、手取り額ではなく、社会保険料などが天引きされる前の給与金額が収入となります。
所得
所得とは、収入から必要経費を引いて残った金額のことです。
会社員の場合は、社会保険料などが天引きされた後の給与金額が所得となります。
必要経費になるものとは?
お仕事を行う上で必要なコストのことで、そのために支払った物品の代金やサービスの料金が該当します。
例えば、WEBライターの在宅ワークをする際に使用するパソコン(10万円未満)やネット回線、知識を得るための参考書など、そのお仕事をするのに欠かせないものが経費として該当するのです。
経費にならないもの
では、反対に必要経費にならないものは何があるのでしょうか。
- 自分(事業主)のための支払い
プライベートで使うものや、税金(所得税や住民税)は経費になりません。
- お仕事と関係ない支払い
お仕事と関係のない飲食費や交際費などは経費にできません。
経費かどうかを判断する際には、「お仕事と関係があるか」を基準にするとよいでしょう。
必要経費の特例とは?
事業所得と雑所得の金額は、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算することになっていますが、家内労働者等の場合には、必要経費として55万円まで認められる特例があります。
家内労働者とは、家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人のほか、特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人をいい、内職や在宅ワークを専業としている人は、これに該当します。
実際にかかった経費の額が55万円未満の時であっても、所得金額の計算上必要経費が55万円まで認められるので、この特例を覚えておきましょう。
確定申告をしなかったらどうなる?
期限までに申告や納税をしない場合、どうなるのでしょうか。
無申告加算税
確定申告書を期限までに提出しなかった場合、納付すべき本税に加えて課されるペナルティです。
原則として、納付すべき税額に対して最大20%の割合を乗じて計算した金額となります。
なお、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、この無申告加算税が5%に軽減されるので、できるだけすぐに申告しましょう。
延滞税
期限までに完納しない場合に課されるペナルティです。
原則として、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する延滞税が自動的に課されます。
故意に申告書を提出しない逋脱(ほだつ)は重大な犯罪です。
「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方」が課されるので、必要な申告書はきちんと提出しましょう。
また、無申告で故意に税金を免れる意思がなくても、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が課せられることがあるので注意が必要です。
まとめ
内職や在宅ワークで収入を得た際に気になる、確定申告についてご紹介しました。
税金の仕組みや特例など内容がわかりにくい部分はありますが、正しい知識や情報を事前に知っておけば確定申告の時期が来ても慌てることはありません。
どうしてもわからない場合は、お住まいの地域の管轄税務署へ相談に行くことをおすすめします。